地理学者が哲学に目覚めたら最強だったんじゃないか

オギュスタン・ベルク著『風土学序説』を紹介します。

13 人間は現実からトリセツ以上のことを読み取る

8 「風土」と人間は同時に実現する -2

物の本性と自分の本性の合致 ⇒ 夢中 ある人が自身の物理レベル、生態系レベル、文明レベルそれぞれの"持ち合わせ"から、ある具体的な環境/事物の文明レベル、生態系レベル、物理レベルへと、歴史・地理的な「おもむきに沿って」つまり無理なく働きかけた時…

7 「風土」と人間は同時に実現する -1

プロフェッショナルという姿勢 ところで、現実的な問題に取り組む真剣味では、職業的な専門家の右に出る者はいないかもしれない。 前出『発酵文化人類学』には発酵活動のアマチュアもプロフェッショナルも登場するが、やはり後者の発言は現実をよりしっかり…

6 やはり日本に八百万はいた、か?

「ウソかホントか」白黒ついたら世間話は終わってしまう 近代以降の自然科学とそれに続いて発展した社会科学は、様々な事物の機能性を受け取る人により著しく異なるその象徴性から正しく分離・分類し、機能性と象徴性その両方があってこそ人の世界を満たして…

5 世間話にふさわしい論点

日本の菌群&発酵ファン待望の書『発酵文化人類学』 『発酵文化人類学』(木楽舎、2017)を著した小倉ヒラクさんは、発酵デザイナーというユニークな肩書を名乗る。 この本で小倉さんは学生時代に学んだ文化人類学とその関連学問の知識、それに効果的な情報…

4 彼岸の力を味方に取り戻さんとする衝動 -2

菌群の活動にまつわる日本人の営みと価値観 菌は生物である。 菌は菌類という名で生物学において動物、植物と並び分類される生物の一種である。 菌類は専門的には真菌と呼ばれ、キノコ・カビ・酵母などがそれに含まれる。 また大腸菌や発酵食品においてはた…

3 彼岸の力を味方に取り戻さんとする衝動 -1

僕は前向きな信仰をもっていない ベルク氏は、人間は時代や地域にかかわらず「事物を身体化すると同時に宇宙化する」、つまり事物を通じて神秘的な力に触れることを求める生き物だという。 その姿勢は、人間の信仰を想起させる。 しかし僕は、神も仏も信じて…

2 地理学者による人間性についての仮説 その2 -2

人間は自分のまわりの物と調和した生き方において「生きている」という実感を得る生き物である 人間以外の生物は自分の体(の生死)に疑問をもったりせず、人間のように不満を感じずに生きる。 一方の人間は、まわりの物を身体化し、かつ宇宙化して取り込む…

1 地理学者による人間性についての仮説 その2 -1

人間自身には把握できない自分の/この世界の存在する意義 人間が物を「風土」にする(ベルク氏曰く物と通態する)ことで事物とその知覚者の双方に意味が発生するといった一連の運動の原動力、それは人間独特の本能すなわち肉体的な欠落感である。 人間は、…