地理学者が哲学に目覚めたら最強だった説

オギュスタン・ベルク著『風土学序説』を紹介します。

8 あなたと物の関係

8 人間にとって環境と自分の間に秩序を現すような感受性は必然なのか -2

学者の視点から見ると、地域性を表現する景観の喪失には問題がある 現在の日本には、物の機能性を追求した結果もたらされる機能美が散見される。 また、機能性を度外視した観賞用の美というものも世の中には多数存在する。 ただ、機能性もそういった創作の美…

7 人間にとって環境と自分の間に秩序を現すような感受性は必然なのか -1

身体的不全感は問題か否か 僕は以前日本人の物とのかかわり方は控えめに言って混乱している、と言った。 角幡さんはこの状態を病気であると断じながら、また「自覚症状はまったくなく、命に別状もないため罹患してもまったく問題はない」(角幡唯介『探検家…

6 風土学と断舎離の共通点と相違点

断舎離と風土学 断舎離思想(不要な物を減らし、生活に調和をもたらそうとする思想)の創始者の山下英子さんは以前、テレビ番組に出演して「問題なのは持ち物の多少ではなく、自分と物がいい関係を築いているかどうか」「自分がひとつひとつの物をどこに置き…

5 生きている感覚を取り戻す方法 -3

若者の消費行動の変化 現代日本に暮らす僕たちにとって物との最も身近な関わり方といえば、何よりまず「消費」だろう。 消費者は僕たちの経済の主役の一つであり、経済活動は日本社会の舵を握っている。 この消費にまつわる若者の行動が近年明らかに変わって…

4 生きている感覚を取り戻す方法 -2

現代の日本人の病の治療方法 前記事の引用でベルク氏は「世間は具体的なものだ」と言った。 かつての世間は、日本人が暮らす集落のような共同体であった。 現在、都市などで暮らす僕たちの生活はグローバル化しており、隣近所すら顔の見える関係にはない。 …

3 生きている感覚を取り戻す方法 -1

日本人が失った体 前記事で引用した『富士山登頂記』の著者の角幡さんが「自然」として挙げた事項には、自然環境だけでなく人間関係や生殖といった僕らが内にもつ制御しがたい事柄も含まれる。 これはベルク氏の学説とも一致する。 そういった自然について角…

2 生きている感覚を探し求める日本人

「富士山登頂記」が語る現代日本人の病的な気分 (このエッセイを含む角幡唯介『探検家、36歳の憂鬱』(文藝春秋、2012)を引用する経緯については前の記事を参照) 私は自分がある種の病気であると思っている。そして申し訳ないが、あなたもある種の病気で…

1 物と自分の関係

物は人間の体の一部も同然だから…何なのさ? 僕たちは僕たちの環境や物(じつは客観的な対象ではなく自分と連なった「風土」)をどのように扱うべきか、ということについて、僕が本書の観点から言いたいことはたくさんある。 しかし『風土学序説』でももちろ…