地理学者が哲学に目覚めたら最強だった説

オギュスタン・ベルク著『風土学序説』を紹介します。

5 オギュスタン・ベルク氏の他の著作を読んだことがある方へ

ベルク氏は日本で『風土学序説』の他に

  • 日本(人)についての本
  • 景観についての本
  • 庭園についての本
  • 環境問題についての本

といった地理学に関連する事柄を主題にした本を上梓している。
また本書の中でも、それらの主題に言及している。

ただし『風土学序説』はベルク氏の著作のうちで特別な位置にある。

p.11 これまで書いてきた他の書物はさまざまな状況から生まれたもので、つねに特定のモチーフに導かれていた。…ところで本書は、どうしても書かねばならないという感情だけで生まれた初めての書物である。

『風土学序説』の主題は、現実の見方である。
現実の見方はベルク氏の他の著作の主題よりも広く複雑なものであり、また他の著作の前提となる主題であるともいえる。
日本(人)も景観も庭園も環境問題もみな現実にある事物であり、そのあり方は僕たちの現実の見方に大きく左右されるからだ。
(ただし本書の執筆の前後でベルク氏のその見解は変遷していたであろうが)

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現実認識はあらゆる事象のベースである。

だから『風土学序説』の内容を理解すれば、ベルク氏の他の著作の理解は必ず深まる。
現実上のあらゆる事象をベルク氏はどのようにとらえているか、すべての著作にわたってよく使う「風土」のような言葉には具体的にどのような意味が込められているかが本書では明確に説明されるからだ。
他の著作でベルク氏の表した概念が理解しきれなかった、などという感想をもつ方にもぜひ本書の一読を勧める。